マイケルジャクソンのThis is itについて

ヤングタンのベースのタカノです。

マイケルジャクソンのThisIsItについて、
よく「ライブを再現するようなリハーサル映像！」
「歌もダンスも素晴らしい！」という絶賛コメントを見かけます。

確かにマイケルはとても素晴らしく、その偉大さを再認識出来る映像ですが、
その観点での絶賛の仕方は少し違うんじゃないか、と思っていました。
「これがマイケルの本気の歌とダンスだ！」という事になると残念なので、
個人的に思うところをまとめてみました。
こういった見方もあるのか、くらいで読んでいただければと思います。

これが本気ではないだろー、と思うには理由があります。
全盛期のマイケルのダンスを見ると、どんなにたくさんのダンサーの中で
踊っていても、「あれがマイケルだ！」と見分けられるぐらいのキレがありました。
でもThisIsItでは、マイケルとバックダンサーのダンスを比べると、
明らかに腕の上がり方、足の広げ方などが足りていません。

でもこれはリハーサルなので、そんなに完璧なダンスをする必要が無いのです。
もっと大事な、来たるべき本番のために、
歌とダンスだけでなく、バンドの演奏、コーラス、
バックダンサーのダンス、ライティングなどの演出、
自分への演奏の返し、立ち位置など、広い会場にいる全てのお客さんが
楽しんでくれるようにライブ全体を仕上げる必要があります。

例えば、ストーンズのミックジャガーは、
ドームのような広い会場だとしても、最前でも最後方から観ても
完成されたステージングを見せてくれると言います。
マイケルも同じように、ライブ全体の中で、自分がどう見えているか、
そしてどうすれば観客が喜ぶか、を常に考えている映像に見えました。

このThisIsItでは、1曲の中で複数の服装パターンが出てきますが、
ほぼ全て振り付けが違います。
ギタリストに対して左と右のどちらに立つか、さえ違います。
まさしく、完璧な本番に仕上げるために、色々と確かめているように見えます。
まあマイケルはそもそもアドリブを交えながら踊るらしいですが。
ただ、視覚聴覚体感からその場の空気感まで、
もの凄く気を配っているように見えないでしょうか？

この映画は、「観客を楽しませるためにスターは何を気にしているのか？」
を観る事が出来る、貴重な映像だと思いました。
プロフェッショナルなエンターテイナーとはこのようなものなのか、
と感動しました。

何よりマイケルはスターなので、観客の前に立ったときが120％輝くはずです。
だから、「マイケルはこんなもんじゃないはず！」と大声で言いたい。
その最高のマイケルが見れなかったことが、心から悔やまれます。
少なくともマイケルが明確に発していたメッセージである、
地球がどうすれば良くなるのかを、もう少し考えようと思いました。
それでちょっとでも世界が良くならないと、マイケルの意思が無駄になってしまう。

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